2012年6月7日木曜日

パニック障害の療法

パニック障害の療法には、大きく分けて“薬物療法”と“精神療法”があり、有効性を認められている治療法は色々あります。

 精神療法において最も基礎的で重要なものが、「疾患に対する医師の説明」と「心理教育」です。
 パニック障害は、発作の不可解さと発作に対する不安感によって悪化していく疾患であり、医師が明確に症状について説明し、心理教育を行う事が全ての治療の基礎となります。精神療法の中で、有効性について最もよく研究されているのが、“認知行動療法”と呼ばれる療法で、「恐れている状況への暴露」「身体感覚についての解釈の再構築」「呼吸法」などの訓練・ 練習が行われ、基本的には”不安に振り回されず、不安から逃れず、不安に立ち向かう”練習を行います。
 系統的な認知行動療法を行う施設は日本には多くありませんが、臨床医は認知行動療法的な患者指導を行っている場合が多いです。

 パニック障害を発症すると最初に有効性を発揮するのは、やはり薬です。症状が表れれば薬で抑える事が基本となり、発症してからの期間が短い場合は、投薬だけで治るケースも多いのです。心療内科や精神科へは行きにくいと感じる人が多いようですが、恐怖がトラウマになればなるほど治りは遅くなるので、早めに行く必要があります。
 薬物療法は根本療法ではありませんが、非常に楽にはなります。ただし再発しやすく、眠気・ 脱力感 ・ 吐き気 ・ 便秘 ・ 渇きなどの副作用があるのが欠点です。

 認知行動療法とは、ちょっと心拍数が上がっただけで「死んでしまうのではないか」と物事を悪い方にばかり考えたり、本来恐怖や不安を感じる必要の無い事に過敏に反応してしまう等の「心の過った反応」を治していく事を目的としています。
 自分の生活状況や考え方、行動がパニック発作とどう関連しているかを理解し、電車に乗れない、人ごみの中を歩けないなどの行動をコントロール出来るようにしていくための訓練療法です。

 自律訓練法(リラクゼーション)は、不安やパニックが起きたときに呼吸法やリラクゼーション法によって、不安をコントロールする方法を身につけます。
 身体の緊張を解き、心のリラックスを引き起こす事を利用します。

 暴露療法(エクスポージャー)は不安や恐怖のために避けている場所や状況に少しずつ慣らし、克服した経験をつんで自信をつけていく方法です。
 ”自分が避けている場所がパニック発作とは関係がない”事を身をもって確かめていきます。最初の目標がクリア出来たら、少しずつ段階的に目標のレベルを上げていきます。